サードステーションの必要性
00 イエスは三度倒れた
サードステーションというと、元来、サードステーションとは、キリスト教用語で、「Third Station: Jesus falls the first time.」という文脈から生まれた言葉です。イエスは、ゴルゴダの丘へ磔刑されるために、(物理的にかなり)重い十字架を背負って歩きます。その最中、イエスは三度倒れます。それでもイエスは、他の罪人たちの許しこそ大切であることをいい続けます。イエスは三度倒れても決して諦めませんでした。あまり、宗教的な話はしたくはありませんが、語源からサードプレスについて説明したいので、宗教に嫌悪感を持っている方はどうぞ趣旨をご理解しご了承ください。
01 サードプレイスという考え方
なので、ここで武蔵野個別指導塾として果たしたいサードステーションというのは、むしろ、一般的には、「サードプレイス」と呼ばれている場所のことです。サードプレイスとは、アメリカのWikipediaにはこう定義されています。
In sociology, the third place refers to the social surroundings that are separate from the two usual social environments of home (“first place”) and the workplace (“second place”). Examples of third places include churches, cafes, clubs, public libraries, gyms, bookstores, stoops and parks.
(社会学では、サードプレイスとは、家庭(「ファーストプレイス」)と職場(「セカンドプレイス」)という通常の2つの社会環境とは別の社会的環境を指します。サードプレイスの例としては、教会、カフェ、クラブ、公共図書館、ジム、書店、屋台、公園などが挙げられる。)
というわけですね。ファーストプレイスである「家庭」、そして、職場や学校というセカンドプレイスという社会における通常の社会的環境とは別の社会的環境をサードプレイスというわけです。 Wikipedia(Japan)によると、「サード・プレイスとは、コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所を指す。」とのことです。
サード・プレイスとは、コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所を指す。サード・プレイスの例としては、カフェ、クラブ、公園などである。アメリカの社会学者、レイ・オルデンバーグはその著書『ザ・グレート・グッド・プレイス』(The Great Good Place)で、市民社会、民主主義、市民参加、ある場所への特別な思いを確立するのに重要だと論じている。」と説明されています。 まあ、身近な例では、カフェのSTARBUCKSが自分たちのカフェを「サードプレイス」「サードステーション」として位置づけ、成功していますね。
02 発達障害や学習障害のお子様にとって最適な場所となる
なので、サードプレイスとは、自宅と職場(場合によっては学校)以外の、自分を表現できる場所を目指しているわけですが、それを発展させて、自分らしくいられる居心地のいい場所(第3の居場所)として、最近、発達障害や学習障害の生徒にとって、大変有益な場所であることが研究者たちに指摘されています。
そして、これはそうした課題を抱えていない生徒さんにも通じるものがあります。 人間関係の悩みから始まり、自分の価値観や他者と異なる自分を受け入れている場所がなく行き場を失っている子供たち、それは学校に行けていない小中学生はもちろん、高校生や大学生であっても、「自分らしくいられる居心地のいい場所(第3の場所)」として発達障害や学習障害、不登校の問題などを抱えている子供たちの社会適応へのスポットとして注目を浴びています。
03 学校や家庭のお勉強以外の価値観を知り、それを受け入れられることで自信がついていく
とりわけ、問題を抱えたお子様にとっては、学校や家庭では、どうしても紋切り型の教育や価値観を押しつけられがちで、息苦しく感じてしまうことが多いと言われています。そこで、「お勉強以外でも評価してくれる」「自分に出来る事がある」「視野が広がる」「会話のバランスが気にならない」「孤独を感じにくい」という場所があるというだけで、心を開き、彼ら彼女らがもっている個性を発揮できる場所となります。
どうしても、学校・集団塾などでは「勉強が出来ない」と言う事が前提にあるんです。そういう目で見られてそういう接し方になっちゃう。そして、そういう状態のまま、小学校や中学校で過ごす、だいたいの時間が国算数理科社会どれかの授業なので、それらが苦手だとやっぱり”自分はあまり何かが出来る方ではない”という意識を持ちやすくなります。
04 学校→家庭での悪循環のループから脱出する
そうなると「学校や家庭では自分は評価されない」→「自分は駄目なやつだ」とどんどん悪循環のループにはまってしまいます。学校では同い年の子達と過ごすため、出来ない事の方が目立ってしまいます。 発達障害があり苦手な事が多いお子様ですが、色んな人達の中に入れば出来る事も出てきます。
いわゆるマニュアル的な学習や教科書的な発想、試験の成績を上げるだけの従来の教育ではなく、自分がまず楽しめることから学ぶことで、先ほどとは打って変わって、「できることがある」という成功体験を積み重ね、家庭でも「出来るようになったこと」を家に帰って喜んで話すようになります。 自宅で出来るチャレンジは保護者様とは共有できても、色んな人と共有しづらく、自宅以外で色んな人に認めて貰える場所があるのはとても大切なことです。
子供の間は「学校が世界の全て」という感覚になりがちです。塾に来て、いろんな学校の子、色んな年代の人、色んな価値観の人と関わる事は絶対に子供にとってプラスになります。色んな人がいる、自分と似た人もいる、とっても面白い人がいる。そう思えることは学校生活を送るのに随分と楽になるのではないでしょうか。
05 実は同学年、同い年と一緒に過ごすことは不自然→斜めの関係の大切さ
課題を抱えているお子様は、小学校の時から子供同士の”テンポの良い会話”や、”察する会話”についていけないことが多いです。結果的に、かなり浮いた存在だったと思います。しかし、塾では、年齢も様々、性格もバラバラの色んな子がいるのでおしゃべりがしやすくなります。年下の子や年上の子と、とても仲良くなったりします。これを武蔵野個別指導塾では「斜めの関係」といっています。
同学年、同い年と一緒に過ごすのは学生の間だけです。社会に出れば年齢関係なく自分の気の合う人一緒に過ごす訳ですから、学生生活の”だいたいの時間同級生と過ごす”ってのは、実は、大変不自然なことなんですね。 なので、武蔵野個別指導塾では、学年や授業スケジュールに関係なく、生徒さんが最初に躓いてしまったところから歩み戻りする学習スタイルをとっています。
06 自分だけが違うわけじゃない
発達障害などの課題を抱える生徒は、学校で「自分人は少し人と違う」という感覚を自然に持つようになります。それを気にする・気にしないは別として、そういういう感覚は持ちやすくなるでしょう。また何らかの発達障害があると学校で孤立しやすくもなるかもしれません。最悪、クラスで孤立し辛い時期を過ごす羽目になることも少なくありません。 学校に行くことは、辛いことになってしまいます。しかし、塾で過ごす時間は、いい息抜きになります。学校では一人で過ごす事が多くても、それ以外の場所での人との関わりの時間はそういう子供たちの強い支えになります。 家庭でも学校でもない、自分が生き生きと輝ける場所として塾を活用するというのは、もはや教育学の世界などでもデファクトスタンダードになりつつあります。
07 ご家庭や学校では見せない生徒さんの姿を保護者様へお伝えしたい
だから、武蔵野個別指導塾では、ご家庭や学校ではな見せない生徒さんの生き生きとした姿や目をキラキラ輝かせて学習に取り組む姿がよく見られるのです。そして、私たちは、ご家庭や学校では見せない生徒さんの姿を保護者様へお伝えし、家庭での親子関係や学校での人間関係をよい方向へ変えるお手伝いをさせて頂いています。 ぜひ、武蔵野個別指導塾を、お子様のサードステーション、サードプレイスとして活用して頂ければと願ってやみません。 副塾長 宮川涼
【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |