合格の切り札・入試過去問のNGな取り組み方法TOP10(1)

受験合格に最も欠かせないアイテムといったら入試過去問集ですね。過去問を制する者は受検を制す。受験生にとって、入試過去問集とは、ハンバーガーにコーラ、パソコンにマウスぐらい必要な組み合わせなんですね。しかし、多くの受験生は、残念のやり方でこの貴重な入試過去問に取り組んでしまうケースが少なくありません。でも、それがしょうがないことですよね。受験生はもちろん、受験生のご両親も今年初めて、受験生の親になったのですから。良いと思ったことを手探りでやっているわけです。そこで今回は入試過去問でやりがちな NGの取り組み方法ランキング形式でお伝えした上で、じゃあどうすれば合格につながる取り組みができるかについて、紹介していきます。

01 合格の切り札・入試過去問のNGな取り組み方法TOP10「第10位 塾である過去問を自宅でやること」

入試過去問のNGな取り組み方法TOP10第10位は、「塾でやる過去問を自宅でやってしまうということ」です。塾でやる過去問を、自宅で先にやることはあると思います。特に、受験期の9月からは多くの塾が授業で入試過去問集やる機会を増えていきます。塾では、授業時間を使って、「時間を計って」「生徒に入手問題を解かせて」「解説をして」「点数を計測して」「記録します」。講師たちは、その時期に「何点くらい取れていれば。その学校の入試に合格できるか」を推し量ります。去年の生徒を一昨年の生徒、更にそのまた前の生徒と、長年にわたって蓄積してきた入試演習結果のデータと照らし合わせて、今年の生徒の得点力を分析していきます。そして、生徒ひとりひとりの課題を浮き彫りにして。これから入試まで残された期間の中で、その課題をクリアしていく、授業計画を調整していくんです。

でも、よくあるんですよね。授業でやる予定の過去問を家で、さっきにやってしまったという生徒さんが。で、その生徒さんに、「なんでその学校のその年度を先にやっちゃうの?」って聞くと「お母さんが過去も買ってきてどれくらいできるかやってって言ったんだ」というような回答が返ってくるんですよね。塾の授業でやる予定の過去問を家で先にやっちゃうと、毎年同時期に過去問を解かせることで、前年同月対比で、点数の比較ができたのができなくなってしまうんですよね。そりゃあ、一回家で過去問をやっているので、授業で解いてみても「なんだか普段の実力以上に高いな」とか「やけにケアレスミスが少ないな」とか「この問題難しいけど、なんでさくっと解けたのかな」と困ってしまうわけですね。過去問を自宅でやるのはもちろん、大切なことですが、できれば、塾と情報を共有して頂きたいです。なので、大変お手数をお掛けいたしますが、自宅で過去問演習をする際は、どの年どの科目の過去問を自宅でやるべきなのか、ぜひ事前に塾に確認してもらえると大変助かります。

02 合格の切り札・入試過去問のNG取り組み方法TOP10「第9位 最新年度から過去問をやってしまうこと」

入試過去問の NGな取り組み方法第9位は「最新年度からやること」です・最新年度、つまり、今春の入試問題は、当然来春の入試の出題傾向に。最も近い入手問題です。だから最新年度の入試問題は、これから入試問題の一番良い参考になるし、入試が最も近づいた直前期において「合格最低点との差」を確認して「合格可能性を判断する」ために取っておきたいんですよね。それがまだ、入試直前でもない段階で解いてしまったら。最新年度の過去問を使って、一番信憑性の高い「合否判断」をする機会を失っちゃうんです・過去問は志望度の低い学校でない限り、一番古い年度からやることをお勧めします。もちろん、2023年の問題を取り組み、一旦傾向と対策を立てた上で、2022年は残しておき、次は一番古い過去問をやるというのはOKです。武蔵野個別指導塾では、結構そういうやり方も行います。敵を知り己を知れば百戦して危うからずです。

03 合格の切り札・入試過去問のNG取り組み方法TOP10「第8位 記述問題の採点を適当にやることです」

入試過去問のNGな取り組み方法第8位は、「記述問題の採点を適当にやることです」。記述問題の採点って、なかなか難しいので、適当に○×つけてしまうと問題があるケースが多いんですね。もちろん、記述問題の参考書に載っている模範解答は模範解答に過ぎませんし、私が知る限り、たとえば国語の『上級現代文』シリーズという河合塾がだしている東大・京大など難関国立前期試験向けの問題集以外で、採点のポイントなど細かく採点ポイントを解説してくれている参考書は見たことはありません。なので、生徒はもちろん、保護者の方でも採点をつけるのは難しいですし、中学や高校の学校の先生や一般の塾で学生のアルバイト講師やサラリーマン講師などではとてもじゃないけど採点できないんですね。

ちなみに、大学入試に関してのみですが、どのように、誰が入試問題を作っているのか気になる方もいらっしゃるかと思いますが、大学入試どう作られるかというと大学にもよるのですが、回答から言うと非常勤講師のアルバイトです。私には大学の教授・准教授職や常勤講師職の公募の案内が時々送られてくるですが、以前、「東京慈恵会医科大学の非常勤講師」という公募というのがあったのを覚えています。主な業務内容は「数学の入学試験問題作成業務」となっていました。

つまり、少なくとも東京慈恵会医科大学において、数学の入試問題は、公募してその公募で選ばれたポスドクなどに作らせているわけですね。ちなみに、こういう公募に大御所の教授が応募することはまずあり得ません。よっぽどお金に困っていれば別ですが、大学教員の給与は良いので、まずありえません。で、言っちゃ悪いですが、入学試験問題作成業務は、研究者としては雑務の中の雑務ですから、現在定職に就いていない若手博士(私は若手ではないですが)が狙うポストなんですね。

このように大学では、下記のような公募をよく実施していて、私のような哲学を研究していた人間をリベラルアーツ系の教授として東工大や慶應大その他の大学から公募のご連絡を受けるケースもよくありますが、これは入試問題作成ではないですね。こんな感じでメールが送られてくるわけですね。入試問題作成のパターンもあったのですが、消してしまったようです。

東工大 《武蔵境駅徒歩30秒》武蔵野個別指導塾 慶應大 《武蔵境駅徒歩30秒》武蔵野個別指導塾

で、何がお伝えしたいかといいますと、入試問題というのは、大学受験では、一応、東大・京大・早慶クラスの博士号取得者(哲学以外では博士卒のみとなります。哲学の世界では博士号は教授になってから取得することになっているので)レベルの人間が問題を作っているわけですね。

そして、肝心の試験の採点も大学受験しか私は知らないのですが、今のような公募された若手を初め、駆け出しの若手の常勤講師や准教授といった、階級が下の人が採点を任されるわけです。教授はご自身の研究と科研費稼ぎが最優先(一橋大学や十文字女子大学、東京薬科大学の教授に友人がおりますが、いつもそういう愚痴『俺(私)がどれだけ科研費取ってきていると思うんだ!』とをこぼしております)なので、その辺はアウトソース同然な状態であるわけです。しかし、先ほどから若手とか駆け出しと言っていますが、正直、大学入試に近い知識を一番持っているのは、教授よりもその若手や駆け出しの方です(なにせ大学受験や大学院入試を覚えており、まだ浅い研究をしているので、大が試験レベルとはいいませんが、そういうのは得意なわけですね)。

というわけで、記述問題の採点というのは、東大・京大・早慶の博士号取得者やそれに比するような、それなりの専門的知識がないとその問題の採点ポイントなんてわからないんですね。他には、受験のプロ集団である、いわゆる大手予備校の中でもとりわけ最大手のいわれる河合塾や駿台、東進レベルの講師陣チーム(彼らも一人で解くわけではないです)ではない限り採点するのも難しいんです。

なんとなくイメージは伝わりましたでしょうか。そんな難しい記述問題の採点を素人が行っても大抵めちゃくちゃになってしまいますし、一体どこが採点ポイントで、どこを抑えておけば良かったのか分からないわけです。

とりわけ、記述問題の配点が高いので、記述問題を適当に採点すると合格最低点に対して、後どれくらい点数を取れるようになればいいかという、合格最低点へ向かったギャップ(距離)を、正確に把握することができなくなっちゃうんですよね。

そこで過去問の採点は塾の講師に頼んでもらうのが良いでしょう。ただし、なんですけど、塾の講師にいきなり採点しもらうのではなくて、まずお子さん自身に自分の書いた記述と模範解答を照らし合わせて、配点のうち何点もらえるかを予想させましょう。そうさせた上で講師が採点した点数と見比べることで、だんだん記述問題の精度が上がっていきます。

しかし、残念ながら、風評被害を起こしてしまいかねないので、どこの塾、あるいはどこの講師もみんなみんなそうだとはいいませんが、例えば、学生のアルバイトやサラリーマン講師が主体の塾では、授業内に行った過去問の記述の採点でも、マルかバツがついていればいいくらい、という低い意識で、その記述のどこが採点ポイントになって、どこがダメで、そこをどうすれば点がもらえたのか、今後に多様な形式を問われたら、どういうところに注意すれば、もっと点数が入るのか、などを丁寧に教えてくれないことが多いです。

国語の採点の悪い例 《武蔵境駅徒歩30秒》武蔵野個別指導塾

これは、今春、麻布中に合格して、通っていた生徒のさんの過去問答案なんですが、見てもらえば分かるように、採点してもらった答案は、○×しか付けられていなくて、これじゃどこがどう良くてダメなのか、全くわからないですよね。

大手塾と言っても、大学受験の大手塾と違って、中学入試や高校入試の塾では、ある程度面倒見の良い塾や個別指導塾、家庭教師でもない限り、こういう採点されちゃうケースが多いです。逆に言えば、ある程度面倒見の良い塾や個別指導塾、家庭教師であれば、があればこれくらい普通にするんですね。もし、通っている塾が記述の添削をあまりちゃんとやってくれないようであれば受験直前期だけでも個別指導塾や添削をしてくれる家庭教師を検討するのもいいと思います。武蔵野個別指導塾だけ全科目、通われている方は大丈夫です。

あと、これは完全に私の独断と偏見なので、無視して頂いて結構ですが、教育者として生徒さんに教える(こうした採点をする)には、最低でも、東大・京大・一橋・東工大を初めとした難関国立大学や早慶で、最低も修士課程を卒業しているレベルの講師ではなければ、まとな授業や採点はできないと思います。なので、社会人でも学部卒で学校教員をしている中学や高校の先生や学部卒で講師をしている人(もちろん、中には素晴らしい方もいらっしゃいますが、多くの場合はという意味では)では正直厳しいのではないかと思っています。もちろん、ここで重要なのは学歴もありますが、より重要なのは、経験値です。

なので、武蔵野個別指導塾の保護者の方は、経営者や外資系企業、コンサル、公認会計士、弁護士、医師、大手企業幹部といったハイキャリアの方や、もちろん学歴も院卒の方やハイレベルの大学を卒業されている保護者の方が多いので、保護者の方が採点されると良いという場合もあるかもしれません。要するに、大手の塾などのアルバイト学生では、そういう経験値が圧倒的に足りていないわけですね。ハイクラスなお立場にある保護者の方はよく仕事場であると思いますが、部下の出す企画書(Word)やPPT、Excelなど日々ご覧になられていると思いますが、東大卒であろうが若手の社員が下手くそな企画書出してきて叱責するというケースはよくあるかと思います(と、うちの生徒さんからも、その生徒さんのお父様が、そのように話ししているとお聞きしております)。

04 合格の切り札・入試過去問のNG取り組み方法TOP10「第7位 満点取れるように復習すること」

入試過去問のNGの 取り組み方法 TOP10第7位は「満点取れるように復習すること」です。「復習って、満点を取るように勉強することじゃないの」って思った方いるんじゃないでしょうか。確認テストなどで、100点取ることが、テストなら満点とれるようになるまで復習するべきです。でも、入試問題の過去問を満点取れるように復習するのは非効率的です。なぜなら、入試問題は満点取らせないように作られているからです。入試は不合格者を出すため、ふるいにかけるツールなんですね。

私自身一番自身のある指導科目は国語、とりわけ、現代文ですが、東大や京大の記述はまあ、記述試験であるので、満点でないものの、ほぼ満点に近い点数を取れるのですが(東大のアドミッションポリシーでも高校の教科書に載っているレベルの知識で思考力を問う良問しかださないと明言しているとおり)、皮肉なことに早稲田大学の過去問で満点を取れる自信はありません。まず満点は不可能だと言ってもいいと思います。実際、それこそ、大学受験の大手予備校、河合塾、駿台、東進ですら、東大や京大の問題は大体似たような模範解答を出していますが、早稲田の選択肢問題はよく各予備校によって答えが違います。

先日も、高校2年生の生徒さんと中学3年生の生徒さんに早稲田の商学部の2016年度の国語の問題を解かせたのですが、ある一問だけ、「これはねえ、先生も答え自信ないよ」と正解を明示しませんでした。四択問題で、確率的に言えば、1/4で当たるはずなのですが、どれも間違いないようで、どれも正解なようで、正直自信を持ってこれが答えだっていえなかったんです。実際、大学入試の過去問の鉄板、赤本に載っている答えと青本(駿台)と河合塾の答え、東進の答えは全部違います。

まあ、これは以前大学受験で出る悪問集という記事を書いているのですが、大学受験の問題、とりわけ私大の問題は悪問が多く、問題制作者が出題ミスをすることも多く(実際、私大どころか、国家の威信をかけた共通テストでも毎年のように出題ミスがあるくらいですし)、過去に都立入試などでも何度も出題をミスをするように、問題を作っている方だって、満点取れないんですね。つまり、大学受験の過去問はもちろん、高校入試や中学入試でも満点を取る必要は全くありません。

合格最低点より少し高めの点数を安定て取れるようになればいいんです。難問を解けるようにがんばるくらいなら、基本的な問題なのに、できなかった問題あるいは、あともうちょっとで解けた問題、そういう問題を復習することに時間をかけましょう。満点取れる可能性が見込める公立高校の入試問題都立高校の共通問題で高得点取れば学費免除の特待生を狙うのあれば、もちろん満点取るの目指しても良いかと思います(基本的に都立入試は良問が多く、そして東京都の高校入試の都立入試は全国でも一番簡単だと言われる平易な問題で良問が多いので)。

また、記事が長くなってしまったので、続きはまた近日中に配信しますね。ぜひ、夏休み中、焦って家で過去問を解くだけは控えて頂けますと幸いです。

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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員。元MENSA会員。早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。一橋大学大学院にてイギリス史の研究も行っている。

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早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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