小論文の基礎の基礎

本記事は、大学入試で総合型選抜試験を考えている人や入試で小論文のある大学を受験しようとしている人をメインのターゲットとしつつ、高校入試の作文対策なども含めた文章を書いて採点して貰うという場面で抑えておくべきコツについて説明していきたいと思います。とはいえ、いきなり小難しいことを話すのではなく、基本、いや、その前の基本の基本について説明していきたいと思います。

01 「だ・である」調(常体)で書く

日本語の文章には、「です・ます」調といわれる「敬体」と「だ・である」調といわれる「常体」の二つの文末表現があります。しかし、日常では、余りこの二つの区別は意識されません。実際、この記事も基本的には「敬体」で書いているものの、時には「常体」が混じるなどの混乱が見られると思います。

しかし、小論文あるいは作文であっても、試験で提出すべき文章では、「常体」を使うのがルールです。敬体とは、誰か特定の人に宛てて書くときに使うのに対して、常体とは、公的な文章を書くときに使うものです。こうしたブログの記事などは、半ば両者が混在している感もあるので、あるいは長い文章を書いていると校正でもきちんとしないと両者が入り交じってしまいがちです(良くない例ですね)。

確かに、両者を混在させてしまうミスは文章が長いと起こりうることではありますが、試験では、そんなに長い文章を書くことが求められるわけではありませんし、校正という手間を得ずとも「常体」で統一して文末表現に気をつけることはそう困難ではないと思います。

同様に、「でしょうか」「ではありません」「でした」「しました」というのも敬体であり、常体の「だ」「である」を使うようにしましょう。一点だけ注意点を挙げると、「~だ。~だ。~だ。」と続いたり、「~である。~である。~である。」と続くと文章として下手くそな感じがしますし、ウザいので、そういう場合は、「~だ。~である。~だ。」という風に連続しないように換えていきましょう。

02 句点で短く文章を区切る

句読点という言葉は知っているかと思いますが、句点というのは「。」のことです。そして、読点というのは「、」のことです。一文が終わったら、「。」をつける。そして、文章を「、」で長く続けないこと。これも小論文でのルールとなります。私の文章や、あるいは哲学書の文章など、はたまた極めつけは蓮實重彦のような文章では、下手をすると原稿用紙一枚分、「~、~、~、」と延々と続く場合があります。

しかし、小論文の試験では、「~。~。~。」としっかり句点で区切っていきましょう。たとえば、「私は、その意見には賛成しない。それには、二つ理由があり、第一に、それは社会的公共性を持っていないということであり、第二に、それは現実的にある種の困難さを持っていると思われるからだ。」という文章は×です。「私は、その意見に反対だ。理由は、二つある。一つは、社会的公共性を持っていないからだ。二つ目は、現実的には困難だからだ。」というように、短文で「句点」で文章を区切っていきましょう。

また、読点で文章を繋いでいくと、主語が不明瞭になったり、あるいは途中で切り替わってしまうことがあります。これはそもそも、日本語には主語がないことや、重視されていないことという、立派な言語学的理由があるのですが、入試では、大槻文彦が築き上げた英文法というフィルターを通して作られた国文法を前提に文章を書かなければなりません。主語と述語がしっかりと対応している文章を書くようにしましょう。

03 読点を適切につけ、接続助詞の「の」や「が」を一文で二つ以上使わない

読点に関しては、句点ほど意識する必要は無いのですが、次の四つの場合には、読点をつけてください。(1)主語が長くなったときに、主語の後につける。(2)重文で、接続助詞のあとにつける。(3)接続語の後につける。(4)名詞などを列挙する際につける、です。また、接続助詞の「の」や「が」を、一つの文章中で2つ以上使うこともやめましょう。何が主語なのか分からない文章になってしまう危険があります。

そして、読点を打つのは、上述の場合のみにして、複数の文章を読点で繋げることは辞めましょう。「一文一意」という言葉を聞いたことがある方も多いでしょうが、「私は走る。」と「教の天気は晴れだ。」「明日も走ろうと考えている。」の三つを繋げて「私は走り、今日の天気は晴れで、明日も走ろうと考えている。」などとすると読みづらい文章になってしまいます。

続く

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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。

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ryomiyagawa
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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