小5や小6からでも中学校受験で合格できる

01 小3、小4から一日3時間の授業を週に3~4回受けるのが一般

中学校受験というと、一般的には、小3くらいから、大手進学塾などに一日3時間ぐらいの授業を週3~4回通って、さらに、夏期講習や冬期講習、春期講習などでは、一日10時間程度の授業を受けたり、勉強合宿を行ったりなどかなりハードに勉強をしなければ合格できないとされています。

これは確かにその通りで、一般論を語れば、その通りでしょう。しかし、ここには一つだけ大きな前提があります。それは中学校受験を御三家(開成、武蔵、麻布、桜蔭、女子学院、雙葉)新御三家(駒場東邦中、海城、巣鴨、豊島岡学園女子・鴎友学園女子・吉祥女子)などの筑波大学附属駒場早稲田大学高等学院中学部、早稲田実業学校中等部、渋谷教育学園幕張、慶応義塾中等部などの難関校や大学付属の名門校への合格を目指しているということが大前提であるということです。

これらの中学校への合格は、確かに一朝一夕で成し遂げられるものではありません。一般論の通り、小3くらいから塾の選抜試験などを受けて、膨大な学習量をこなさなければ合格は難しいでしょう。

02 そもそも中学校受験の本来の目的は何だったのか?

しかし、中学校受験はそれらだけのために存在しているわけではありませんし、中学校受験のメリットというのは、こうした超難関校や名門校でしか得られないわけではありません。そもそも、大学が付属して、エスケレーター式に基本進学できるような中学校以外に関しては、そこの中学校へ行くことが目的ではなく、良い大学へ進学して欲しいという大目標ありきのことだと思います。

では、仮に親御さんがお子様へ期待する教育上の最終目標が大学にあるとして、上述したような中学校しか、大学受験でトップクラスとされる東大や京大、一橋大、東工大を始めとする難関大学や旧帝大系の大学やそれに準ずる国立大学、あるいは早大や慶大、上智などの難関私立大学、あるいは青学や学習院、明治、中央、法政、立教、東京理科大などのいわゆるGMARCH理などの名門大学へ進学できないのでしょうか。

もちろん、そんなことはありません。たとえば、攻玉社高等学校(東京都 男子校、同学の付属中学校の偏差値は56程度)は、東大へ13名合格し、早慶上ですと241名合格していますし、國學院久我山高等学校(東京都 男子校、同学の付属の中学校の偏差値は50~57)では、東大・京大・東工大・旧帝大などの難関大学に59名合格、早慶上理(理とは東京理科大のこと)では236名も合格しています。

今回、たまたま攻玉社と國學院久我山を取り上げましたが、中高一貫の中学校で偏差値でいえば超難関校や有名校のように偏差値70オーバーという偏差値ではなく、いわば中堅校として、偏差値46~55程度の偏差値で入学できる中学校でも、実績としては、超難関中学や名門中と全く引けを取っていないのです。もちろん、東大の合格者ランキングだけで見れば、確かに見劣りはします(どうしても東大に何人合格したかで難関中学校、高校はブランド力を上げようとしているわけですね。一番分かりやすいアピールになるので】。しかし、こと東大という一つの大学に限らなければ、中堅校であっても、超難関校と何も引けを取っていないのです。

その意味で、難関国立大学や早慶上智やGMARCH理を目指すのであれば、いわゆる鬼のような中学受験勉強で突破して難関中学校や名門中学校に進学するのと、そこまで無理のない範囲で、中堅校へ進み、中学や高校で勉強をするという習慣や勉強をする基礎体力を身につけるというような、もう少しライトな感覚で中堅校に進学、合格するのであれば、最終の目標達成という意味では何も変わらないわけです。

03 偏差値55を取れれば中学校受験に成功し、東大・京大、旧帝大、早慶上智、GMARCHには受かる

確かに御三家や新御三家に合格するためには、小6からの中学校受験は限りなく不可能に近いですが、そこまで偏差値が高くはなく、進学実績の良いお得な中堅校(偏差値46~の出身である55程度のことをいう)ならば、小5、小6からでも中学受験で合格するのは可能なのです。でも、「いや、うちの子は偏差値55なんて無理」と思われる保護者の方もいるかもしれません。しかし、偏差値について少しよく考えてみましょう。

まず先にイメージを行ってしまえば、偏差値55を目指すというのであれば、もちろんテストによって多少に違いはありますが、正答率50%以上の問題にすべて正解すると大体55くらいの偏差値になります。つまり、偏差値55を目指すのであれば、半数の子が正解している問題を解けるようにすればいいということです。そして、このことを逆に言えば、偏差値55を超えていないということであれば、半数の子が解ける問題が解けていないということです。偏差値60を目指す場合でも、これと同じことがいえます。偏差値60というとなにやら「難しい問題が解けなければならない」と勘違いされがちですが、決してそんなことはありません。正答率40%以上の問題がすべて解ければ大体偏差値は60になるわけです。

04 偏差値の考え方

ここで、そもそも偏差値の計算方法についても説明しておきましょう。「数式は苦手だ」と食わず嫌いにならず、少しだけ話を聞いてください。偏差値とは「(個人の得点ー平均点)÷標準偏差×10+50」という式で計算できます。この段階で「標準偏差」ってなんなの、と拒絶反応を起こしてしまう方もいるかもしれませんが、「標準偏差」とは、得点の散らばり具合を表すもので、模試や科目などにより異なり、標準偏差は「(点数ー平均点)の二乗の総和÷受験者数の平方根」によって算出できます。

「ん?よくわからないな。やっぱり難しいじゃないか」と思った方いますよね?なので、もう少し丁寧に説明します。標準偏差とは、繰り返しになりますが「データの散らばり具合」を表す数値です。

例えばクラスのテストの点数や、友人たちの身長など、そのデータは一定の値に集まっていることが多いです。これを「平均値」といいます。しかし、全てのデータが平均値と全く同じ値を持つわけではありません。それぞれのデータが平均値からどれだけ離れているか、つまりデータがどれだけ散らばっているかを表すのが「標準偏差」です。

この標準偏差を理解するための分かりやすいたとえ話を一つ考えてみましょう。たとえば、あなたがアーチェリーの選手だと想像してみてください。的に向かって矢を放つと、その矢は必ずしも的の中心に命中しないでしょう。矢の着地点はその都度異なります。このとき、矢が的の中心からどれだけ離れているかを考えると、それがまさに標準偏差の考え方になります。矢が的の中心に近く集まっていれば、標準偏差は小さくなります。逆に、矢が的の中心から大きく離れて散らばっていれば、標準偏差は大きくなります。

では、具体的に標準偏差はどのように計算するのでしょうか。以下にその手順を示します。

  1. まず、全てのデータの平均値を計算します。
  2. 次に、各データが平均値からどれだけ離れているか(偏差)を計算します。
  3. それぞれの偏差を二乗します。これは、偏差がマイナスになることを防ぐためです。
  4. すべての偏差の二乗の平均(分散)を計算します。
  5. 最後に、分散の平方根を取ると、それが標準偏差となります。

このように、標準偏差はデータの散らばり具合を数値化したもので、データの特性を理解するための重要なツールです。例えば、テストの点数の分布を考えてみましょう。平均点だけでは、クラス全体のパフォーマンスを完全には把握できません。なぜなら、同じ平均点でも、点数が平均点に集中している場合と、点数が平均点から大きく散らばっている場合とでは、クラスのパフォーマンスは大きく異なるからです。このような場合、標準偏差を用いることで、点数の分布、つまりクラス全体のパフォーマンスのバラつきを具体的に把握することができます。

05 偏差値60を取るのは目安として平均点+10点くらいに過ぎない

テストの点数そのものではなく、テストはテストの種類や難易度、偶然の産物などから平均点は変わってきます。点数としては、100点満点のテストでも難しいテストでは、平均点が50点くらいになるでしょうし、簡単なテストでは平均点が80点くらいになるでしょう。

具体的に計算してみましょう。Aくんが、平均点50点のテストで60点を取った場合を考えてみましょう。自分が取ったテストの点数60点から平均点50点を引きます。すると10という数字が出ますね。そして、この10を二乗します。つまり、10×10とするわけですね。答えは、暗算できると思いますが、100です。そして、このテストを受けていた人数は10名だとします。

その10名のそれぞれの自分の得点と平均点との差を二乗します。たとえば、Bくんは35点だったので、35-50=ー15、ー15×ー15=225という感じで一人一人計算していきます。以下、Bくんは30ー50=-20で、400、Cくんも、30ー50=-20で、400、Dくんは40ー50=-10で、100,Eくんは46ー50=-4で、16、Fくんは、100ー50=50で、2500、Gくんは、45ー50=-5で25、Hくんは90ー50=40で、1600、Iくんは30ー50=-20で400、Jくんは25ー50=-25で、225と計算できますね。ここで、みんなの二乗した数を足し合わせます。エクセルで計算しないとしんどいですが、約6000になります。そして、この6000の平均は10で割ればいいので600です。そして、この600の平方根は24.5です。

その上で、もう一度、偏差値とは「(個人の得点ー平均点)÷標準偏差×10+50」という式で求められることを思い出しましょう。すると、今回自分が取った得点60点そして平均点50点を引いて10、その10を今求めた標準偏差で24.5で割り、それが0.408(小数点第四位までにしました)ですね。そして、この0.408を10で掛けけると4.08、これに50を足します。54.08ですね。つまり、Aくんの偏差値は54.08となるわけです。平均点50点のテストで平均点より10点くらい多く取れれば、中堅校クラスの中学校には合格できるわけですね。

06 実は算数はコスパが悪い

もちろん、中受の平均点といっても、受験する中学校によりさまざまです。ただ、大体、どの中学校入試でも平均点は60点(6割)くらいだと言って大まかに誤ってはいません。それに+10点取れば合格できるというわけですね。もちろん、並み居る強豪が平均点60点なのに、それにさらに上乗せして10点を取るのは難しいのではないかと思われるかもしれません。

ここで、もう一つ中学校受験の常識の大前提を検証する必要があります。それは、中学校入試で特筆すべき科目であり、異様に難易度が高いのは算数だけということです。なので、たとえ中堅校といえども、算数で平均点に+10点取るのはやはり難しいのが現実ですし、その得点を取るためには、それこそ小3や小4くらいから算数の学習をしている必要があります。しかし、算数以外の科目に関しては、それほど難しいという問題は出ません、では、算数はなぜそんなに難しいのかというと、これもシンプルな理由があります。中学校受験の算数は、小学校で全く習わない特殊算(鶴亀算や旅人算など)を勉強しなければ得点できないような問題を出しているからです。

言ってしまえば、小学校で習った算数の知識は当然のこととして、それにプラスαして、特殊算を学ばなければならないわけですね。一概には言い切るのは少しはばかりますが、中学校受験での算数は通常の算数と特殊算という受験算数の二科目分の労力がかかるということです。なので、ちまたでは中学校受験を算数で制すると歌っているような大手進学校などがありますが、それは授業数を多く取って欲しいという学習塾側の売り上げ向上施策でもあり、実際は、国語や理科、社会と算数は同じ1点としてしか換算されないことを考えると、算数以外の科目で1点をとる2倍の努力を必要とする一番コスパの悪い科目だということができると思います。

なので、算数で平均点+10点を目指すのは、国語や社会、理科で、平均点+20点を取るようなものであり、場合によってはそれよりも難しいケースが多いのです。なので、小5あるいは小6から算数で、中学受験で平均点に+10点くらいを取るのは至難の業と言わざるを得ません。しかし、それに対して、国語や社会、理科などでは、基本的に学校で習っていることをベースにしています。もちろん、細かな知識や小学校では習わない知識も入ってきますが、大筋の理解としては別科目といえるほど違うものではありません。唯一、理科や社会の受験上の問題点をあげるとすれば、小学校で習っていくペースが遅すぎて、中学校受験までにテスト範囲をしっかり終えられなかったり間に合わないということぐらいです。

07 国語や理社で算数を補う戦略が効果的

以上のような理由から、算数に関しては小5、小6からの受験で考えると、平均点くらいを目指すのがちょうどよいかと思います。もちろん、先ほど説明したとおり、中学受験の算数では、特殊算などが多く登場します。しかし、最低限度の特殊算への理解と、基本的な算数への理解があり、ある程度応用問題などに慣れ親しんでおけば、中学校受験の算数でも平均点を取ることは難しくありません。実際、一部の超難関中学や名門中以外では、出題される問題の半分くらいは特殊算を完璧に理解しなくても解けるような問題を出題しています。ということは、算数で6割くらいの平均点を取ることは可能ですし、悪くとも平均点より10点低い、50点くらい、つまり問題の半分を解くことくらいなら1~1.5年の努力で取れるようになります。

それに対して、算数以外の科目、国語や理科、社会に関しては、1年程度あれば、そして、知識詰め込みではなく、国語であれば論理的に解いていく解法や文章を書く練習、漢字などの知識問題の習得、そして、理社もほぼ大まかな話の流れや重要用語の暗記だけで6割はもちろん、とりわけ、国語と社会に関して言えば、知識というよりは、「考え方」を学ぶ訓練をすれば8割くらい取れる内容になっています。

ここで少し驚かれた方もいるかもしれませんが、実は、国語や社会こそ暗記要素は低く、ある程度の常識や最低限度知っておくべき事から、推理したり、論理的思考を発揮すると得点できる科目なのです。逆に「算数に関しては完全に暗記」科目になります。

これは算数だけではなく、中学校や高校に入ってからもそうなのですが、算数や数学というのは、公式を覚え、そして、解き方(解法)を暗記し、類題に多く触れてパターンを学習することで成績が向上する科目で、実は暗記が一番重要になってくるのです。このことを東大医学部卒で精神科医、作家でもある和田秀樹(鉄緑会という東大生の半数以上がそこを利用している予備校の創始者の一人)がかなり昔より「数学は暗記である」と断言し、そう指導して、数多くの東大理Ⅲ(医学部)を始めとする医学部受験に成功してきたという事実もあります。

なので、算数や数学の成績を向上させるためには膨大な反復練習、解法パターンの暗記が必要になってくるのに対して、国語や社会はある程度考えれば解けるという問題が多いのです。そのため、算数よりも学習量は少なくても偏差値を上げることができるということになるわけです。このような理由から、武蔵野個別指導塾では、小5や小6から中学校受験をはじめて中堅校へ確実に合格させるという手法とノウハウを蓄積しているわけです。

続く(次回は、勉強の仕方や保護者様の心がけて欲しいことなどについてお話しさせていただきたいと思っています。

武蔵境駅徒歩30秒武蔵野個別指導塾 《武蔵境駅徒歩30秒》武蔵野個別指導塾

武蔵境駅徒歩30秒武蔵野個別指導塾

武蔵野個別指導塾・武蔵境唯一の完全個別指導型学習塾

【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。元MENSA会員。日本倫理学会員。早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。現在は一橋大学でイギリス史を研究中。

TOPに戻る

個別指導塾のススメ

小学生コース

中学生コース

高校生コース

浪人生コース

大学院入試コース

社会人コース(TOEIC対策)

英検準1級はコストパフォーマンスが高い

英文法特講(英語から繋げる本物の教養)

東大合格は難しくない

英語を学ぶということ

英文法講座

英検があれば200~20倍楽に早慶・GMRCHに合格できる

現代文には解き方がある

共通テストや国立の記述テストで満点を取る日本史

共通テストで満点を取るための世界史

武蔵境駅徒歩1分武蔵野個別指導塾の特徴

サードステーションの必要性

完全個別指導塾とは何か

中学校の内申点の上げ方の秘訣

学年別指導コース

文部科学省

author avatar
ryomiyagawa
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
PAGE TOP
お電話