現代文の要約問題の解き方(1)
<老い>がまるで無用な「お荷物」であって、その最終場面ではまず「介護」の対象として意識されるという、そんな惨めな存在であるかのようにイメージされるようになったのは、それなりの歴史的経緯がある。生産と成長を基軸とする産業社会にあっては、停滞や衰退はなんとしても回避されねばならないものである。生産性(もしくはその潜勢性)や成長性、効率性、速度に、非生産的=無用なもの、衰退=老化――そういえば社会システムの老化のことを「制度疲労」とも言うのであった――として対置されるかたちで。
一橋大学2019年
続く
【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。 |