勉強が苦手になりやすい家庭の特徴トップ3

今回は、お子さまが勉強を苦手になりやすいご家庭の特徴を紹介していきます。勉強ができるかできないかは、遺伝が半分で残り半分は環境にあると言われています。遺伝というのは半ば冗談のようなものですが、環境は間違いなく大切です。そして、環境といっても、通っている学校や塾のような学習環境もありますが、特に大きな影響を与えているのが家庭環境です。

子供は、親と一緒に過ごす時間が一番多いですからね。私はこれまでの数百組との保護者面談において、成績の良くないお子さんのご家庭には、全員がというわけではありませんが、9割以上ある共通した言動があることが実体験からわかってます。

そこで今回はそんな体験から勉強が苦手になりやすい家庭の特徴トップ3を発表していきたいと思います。

第3位:親が勉強を「苦行」だと捉えている

それでは、勉強が苦手になりやすい家庭のトップ3の第3位は「親が勉強を苦行だと捉えていること」です。」親が勉強を苦行だと捉えていると、我が子に次のような声かけをする傾向があります。「今、苦労した分将来楽になれるんだから」「ほら、きっと今頃○○ちゃんも必須になって頑張ってるよ。」といったような、このような言葉をかけられるほど子供は勉強とはつらいものだと捉えるようになります。親が「勉強とは苦労するものだ」と思っていると、そんな親の気持ちは子どもに自然と伝わるわけですね。

もちろん、中には、作家で『すべてがFになる』で第一回メフィスト賞を受賞した当時現役大学教授を兼業しながら活躍した森博嗣(元名古屋大学大学院環境学研究科環境学専攻助教授)などは、「勉強は苦労以外の何者でもない」とエッセイで言い切っておりますが、これはレアなケースと考えておきましょう。逆に、名古屋大学の教授にまでなって作家としても成功した人ですら勉強は大変だったんだなあ、と反面教師にしておくといいかもしれません。勉強は苦しいとか大変だから、頑張れというのは、彼くらいの方がいえば説得力もありますが、そうでもない方がいっても子どもからすれば「そんなことは分かっているし、お父さんやお母さんも子どもの頃はあまりやらなかったんじゃないの、と逆に思われてしまいます。

さらに、このように「勉強を辛いもの」だと捉えると、勉強を何とか頑張るか、頑張らないで避けようとするか、このいずれかになります。勉強を避ければ、勉強が苦手になるのは当たり前です。勉強=辛いもの、大変なもの、苦しいものという前提ができてしまい、結果、勉強から逃避しようという欲求、欲望が起きてきてしまいます。一方、それにめげずに頑張ろうと思ったお子さんにも実は良い影響は与えません。勉強は辛いものだし、苦しいものなのはわかったけれど、それなら茨の道を歩めばいいんだね、と思いこみ、勉強を力ずくで頑張っていくようになります。実は、この力尽くで勉強を頑張っていくというのも勉強が苦手になっていくリスクが高まっていく要員となるのです。

これはどういうことでしょうか。例えば以前、四谷大塚の全国統一小学生テスト、日能研の全国テストの小学2年生の算数ではどちらもこんな感じの計算問題が出されていました。

21+13+12+18+17+9

という問題です。

勉強を力づくで、頑張っている子は、この計算を21+13は34で、34に12を足すと46でといったように真っ向勝負で問題に取りかかります。途中計算の過程の数字もしっかり書き残して丁寧に筆算していきます。テストで間違ったら類題を数多く解くことで、計算の精度を上げようとします。特に時間がかかるようであれば計算問題を解く時間をストップウォッチで測ることを繰り返しながらさながら短距離の選手のようにトレーニングします。もちろん計算力は算数の土台であり、基礎体力のようなものです。数的暗黙知を養うのに必要なトレーニングです。当然、大事なことですが、その一方で令和の受験は中学受験も高校受験も大学受験も受験生の思考力や発想力を試す問題が多くなっています。

21+13+12+18+17+9

「こんな計算面倒くさい」とか「こんな計算やってらんない」とか、そう思った子が、どういか楽して解けないかなぁと考えていると、ふとした瞬間に「あーこれ最初の21と最後の9を足すと30だ。で、最初と最後から2番目の13と17を足すと30だ。さらに中にある12と18を足しても30になる。つまり、30が3セットになるから答えは90だな」と気づき、「これなら暗算で簡単に解けるじゃないか。気持ちいい!」という気持ちになることがあります。これはとても大切なことです。

勉強ができる子は、意外と面倒くさがりです。ただし、面倒くさいという気持ちから、(1)「だからやらない」(2)「だから頑張る」(3)「だから工夫する」という三つ目の行動を選択することによって、「おお!」をこうすれば簡単に解けるという発見につながってその発見の快感が勉強の醍醐味でもあるんです。勉強を通じて一度快感を得た子は勉強に対するネガティブなイメージはなくなり、ますます勉強が得意になっていくわけですね。

令和の入試問題というのは、受験生に苦行に耐えうる精神力があるかを試す問題よりも「あなたはこういう問題に向き合うことを楽しめる人ですか?」ということを問いかけるような問題が多くなっているように思えます。保護者の皆さんは我が子の勉強に対して昭和平成時代の過去の勉強の仕方は一旦脇においてどうしたら楽しめる工夫ができるかということを考えてもらえたらと思います。考えてもわからなかったら、塾でどう解けば楽で、楽しく解けるのが塾の先生に聞いてご覧なさいと言って頂いても結構です。勉強をすること、問題を解くことが、面白いっていうことが実感できるかもしれません。

第2位:親が我が子の勉強を成績で評価すること

第2位は「我が子の勉強を成績で評価すること」です。我が子を成績で評価するのは人を年収で評価するのと同じことです。我が子を成績を理由に叱るのはパートナーの年収に不満を言うようなものです。パートナーの稼ぎに対して不満をぶつけるのは禁句だというのは分かっているのに、我が子の成績に対しては不満をぶつけてしまいがちだと思います。親から成績の不満をぶつけられた子供は「よし、それじゃいっちょ頑張るか」と前向きな気持ちになれる子であればもうとっくの前に成績は上がってます。

普通は成績の悪さを叱られると余計勉強したくなくなるものです。子供も自分の成績が良くないことは分かっているんです。勉強しないよりもした方がいいことももちろんわかっています。でも勉強する気になれない、そういう状態の子に向かって成績を叱るとますます勉強する気をなくさせます。我が子の成績が良くないのであれば、成績という結果を叱るのではなく、今のお子さんの勉強の向き合い方に着目することが大切です。きっとお子さんの勉強の仕方、勉強量の少なさに問題があるはずです。そこで、その勉強をこれからどう変えていくかをお子さんと対話しながら一緒に考えることをお勧めします。

他のコラムでも紹介しましたが、勉強の仕方は無限にあるわけです。そして、お子さんの勉強に対する姿勢が少しでも変わったら、すかさずその勉強の姿勢を認めてあげてください。私は保護者面談をする際、直近のテストの成績は下がっていた場合その原因と対策を具体的に詰めて慎重に臨むんですけど、結構な割合で今すぐ成績が上がらなくても息子が楽しく塾で勉強できているみたいだし先生にお任せします、とおっしゃってくださる保護者の方結構いらっしゃるんです。そういう保護者のお子さんはやがて成績を上げていくことが多いように思います。一方、三者面談の場で保護者が我が子に向かって「ほら言った通りじゃない

の?どうすんのこんな成績でもういける学校なくなっちゃうよ!」と怒り出す保護者のお子さんはその後なかなか成績が上がらなくて苦労するケースが多いんです。ビジネスにおいては、結果が全てというシビアの見方も求められますが、こと勉強に限って言えばどう勉強をしているかというプロセスに着目して、認められるところがあれば「そういう姿勢いいな」って関心の言葉をつぶやくと子供はそんな素振りを見せませんが、内心うれしく思ってモチベーションが上がっているものです。ぜひお子さんの小さな変化を認めて関心の言葉をつぶやいてください。

第1位:親が子供に勉強を強制すること

それでは次に、勉強が苦手になりやすい家庭の特徴をトップ3の第1位は、「勉強しなさい」というストレートな言い方をしてしまうことです。もちろん、「うちだって勉強しろとはいいたくないけれど、勉強するように促さないと将来大変なことになるから」とか「勉強しろっていわないとうちの子もっと勉強しないよ」と思われる親御さん多いと思います。「勉強するようにいわない親って子どもが優秀だからでしょう。そりゃあ、子どもが自分から勉強するならガミガミ言わなくても済むんだけど」という方もいらっしゃるでしょう。まあ、それはそうでしょうね。親御さんも怒りたくて怒っているわけじゃないですよね。

でも、子どもに「勉強しろ!」「勉強しろ!」というのは、上司から部下に「働け!」「働け!」「今月もサビ残200時間はしろ」とか「お前定時に帰るなんて仕事舐めているのか」と発言されるようなものです。保護者の皆さんで会社にお勤めの方はぜひこのイメージを想像してみてください。

私も二十代から、年商100億円ぐらいの企業で、なまじ執行役員だとか、役員だとかの立場についていたので、上司といっても、創業オーナーや創業仲間の副社長あたりから、「宮川、夜中の0:00に家に帰ろうとするなんて、親でも死んだか?」とかいわれ、仕事は早くても翌朝4時くらいまではさせられましたし、「夏期休暇や年始年末の休みはもちろん、土日、祝日も一日も休めず、年に1回か2回休めるかどうか」という中でお昼ご飯を食べている間に社長から「お前なにのんびり飯を食っているんだよ。午後イチに大和証券さんが来るんだから、その資料や準備終えているのか?すぐに会社に戻ってこい」と5分しか昼ご飯を食べていいのに会社に戻らされたり、深夜5時頃ようやく家で眠れるかと思うと、寝ている間に着歴が残るMAX(確か当時で20~30くれい)に電話がかかっており、はたと気づいて電話に出ると社長から「宮川、今度大和証券さんに出す試算表の数字の○○の勘定科目の数字6と9打ち間違えていないか、すぐ直しに会社に戻ってこい」とかいわれたものです。

今時、こんな時代錯誤な会社はありませんし、こんな会社で働きたいと思う人いるでしょうか。仮に、勉強を強制して、それによって子供が勉強して、見事第一志望校に合格したとしても、進学後に親の手綱から離れた途端にそれまで何とか絞り出していた気力が尽きてしまい、せっかく勉強して合格した進学先の学校を不登校になるといったケースの子も少なくありませんし、最悪中退してしまうケースもあります。子供に勉強させたいと思ったら、どうすれば子供が自ら勉強するようになるかということを親が勉強する必要があるのです。

勉強を避けるのは勉強がわからないか勉強が面白くないかのいずれかです。であれば、子供が勉強がわからなくなったのはどの時点からなのか?子供のテストの結果、現在勉強している塾のテキストから分析するんです。自分で分析するのが難しければ自分の代わりに武蔵野個別指導塾にまでご相談ください。我が子が勉強の面白さを分かっていないようならどうすれば、我が子が勉強に面白さを見いだせるか親が学ぶんです。

子供に勉強を強制したくなったらそこをグッと我慢する必要があります。子育てに必要なのは親の忍耐と寛容、そして試行錯誤だと私は思っています。我が子が前向きに勉強に取り組めるようになるには?自分から勉強に取り組むようになるには?どんな工夫ができるかを考えましょう。工夫しないで直球で子供に勉強を強制するのは、

21+1312+18+17+9

の計算を20+13も34で34に12を足す46でと取り組むようなものです。どうかお子さんが勉強を楽しめるようになるための工夫をし続けることを諦めないでください。そして、その方法が分からないという場合は、武蔵野個別指導塾までご相談ください。ご相談される前には、間違っても「勉強しろ」と子どもに勉強を強制するのはなるべく避けてくださいね。

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【監修者】 宮川涼
プロフィール 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員。元MENSA会員。早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。一橋大学大学院にてイギリス史の研究も行っている。

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ryomiyagawa
早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員 早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。
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