総合型選抜や学校型推薦入試、私立高校の単願推薦やスポーツ推薦で勝つ面接力
2023年、大学全体の選抜方法を、一般・学校推薦型・総合型選抜の3区分別でみると、一般選抜49.7%、学校推薦型選抜31.0%、総合型選抜19.3%となっており、従来の学科試験で大学入試を突破する割合は既に過半数を割っており、それに代わって、学校推薦型選抜、総合型選抜といった英検と小論文、そして面接が入試試験となり、それに合格して大学へ入学する割合がついに過半数を超えました。他の武蔵野個別指導塾の記事でも書いておりますように、目下文科省は学力偏重の入試制度を改め、学校での評価点(いわゆる内申点、通知表)のような非認知的能力や国際社会における英語力、そして、AI時代にこそ求められる高いコミュニケーション能力や情報編集力や表現力を推し量る小論文、面接などの試験で大学選抜を行おうとしております。
その中でも、総合型選抜(AO入試)は、大学入試の選抜方法の一つであり、面接がほとんどの大学で課される重要な要素となっています。また、高校における推薦入試でも面接は非常に重要な位置へシフトしてきています。面接は、受験生の学力や成績だけでなく、その人柄や個性を評価する重要な場面となります。したがって、面接の対策は、筆記試験の対策と同じくらい重要と言えます。また、近年では、中学入試や高校入試などの場面でも面接を課する試験制度が広がっております。これからの時代、単なる学力や試験の点数ではなくて、人間性やコミュニケーション能力を重視する傾向にあります。実際、就活の時や転職の時も大事なのは面接ですよね。しかし、良い大人が面接に臨むのにも転職エージェントなどがアドバイスし、対策を行い、それでもなかなかうまくいかないのが現実であるというのに、社会経験もない子どもがどうすれば面接対策を上手に行えるようになるのでしょうか。そこを支援させて頂くのが武蔵野個別指導塾です。
01 面接とは、キミ自身をアピールする場であり、学校を選ぶ場である
いきなりですが、面接の評価は「面接の捉え方」で決まると言っても過言ではありません。面接を受けるという受動的な立場で、面接を合格・不合格の判断をされる場所だと捉えている人、少なくないと思います。それに対して、面接をもっと積極的に、自分がその高校生に相応しいことをアピールする場所だと捉えている人、この両者には大きく違いが生まれています。さらに、面接は、あくまでも自分がその学校を気に入るかどうかの自分が選ぶための場所と捉えている超能動的な人では、面接の結果は大分異なったものとならざるを得ません。選んでもらうのではなく、自分が選ぶ、その視点が大変大切です。
面接とは、面接官の質問にただ答えるものではありません。質問は、面接官と受験生とのコミュニケーションの入り口に過ぎないからです。面接とは、面接官からされた質問を入り口にして、面接官とのコミュニケーションをする中で、自分がいかにその学校に入学するのに相応しい人物であるかをアピールする場所であると同時に、自分が本当に選ぶべき学校を自分から見極めていく場所です。そのためには、まずは、孫子の兵法通り、敵を知り己を知れば、という訳でして、まず敵(志望校を敵というのは若干語弊がありますが)を知り、そして、何よりも自分を知ることが大切です。学校で学ぶのは面接官でも親でもなく、生徒さん自分自身です。その自分自身を自分がきちんと知っていなければ、面接の意味はありません。とりわけ、大学受験、高校受験というのは、その後の自分の人生に大きく影響を与える出来事です。自分を知らずに、なんとなく、偏差値が高いから、有名な大学、高校だから、というふわっとした動機で選んでしまっては後からほぼ間違いなく後悔します。
自分を知って、そして、その上で、大学なり高校をよく知ること。これが面接準備のスタート地点です。その上で、自分とその志望校の接点、つまりお互いに求めることがマッチするところを探します。探しても見つからないようであれば、そもそもその高校や大学に入学する意味はありません。そうしたことに気をつけるのも面接準備の重要な点です。
02 面接には個人面接、グループ面接の2種類がある
就職活動をしたことがある保護者の皆様にはイメージがわきやすいと思いますが、面接には、個人面接とグループ面接の2種類があります。個人面接とは受験生が1対1のケースと複数の面接官に受験生が一人のケースがあります。面接官と受験生が1対1のケースは、シンプルです。挨拶、返事、お礼をしつつ、目の前の面接官に聞かれたことを答えていきましょう。企業の転職面接でいえば、最終的に採用を決める権限を持った人物との面談ですね。大抵社長であるとか、その部署の責任者が行うものです。大学や高校の場合は、さすがに学校法人の理事長や学長が出てくることはありません。大学でしたら大学教授、高校でしたら高校の教員などが行います。
複数の面接官に受験生が一人のケースもよくあります。複数の面接官がいる場合は、一人は質問役、もう一人が観察役のように、それぞれが役割を持っている場合が多いです。また、一人の面接官による不公平さをなくすためにバランスを取っている場合もあります。なので、受験する生徒からすると、なんだかもう一人の面接官が無表情にこちらをじっと見る姿勢に「不機嫌そう」「怒っているのかな」と怪訝に思ってしまうかもしれません。でも、それはそういう役割なんだ、と予め理解しておきましょう。企業の採用面接では、圧迫面接なども行われたりしますが、大学や高校の面接では、私が知る限りでは、圧迫面接のようなことを課す大学も高校も聞いたことはありません。なので、監察(観察)役の面接官に気を取られずに、質問をしてくる面接官の方を向いて、自身を持って質問に答えていきましょう。
次に、グループ面接も、面接官ひとりに対して、受験生が複数のケースと複数の面接官が複数の受験生を見るというケースがあります。グループ面接のポイントは二つです。(1)他の受験生の話を聞く姿勢を持つこと、と(2)前に答えた受験生の話に影響されないようにすること、の2点です。
前者は分かりやすいかと思いますが、他の受験生が一生懸命答えている間に自分の話す内容を考えることに集中していたり、興味ないあなあ、と上の空であったりすると、他者への配慮や人付き合いがうまくできあいような生徒ではないかと、面接官の印象を悪くしてしまいます。他の受験生が答えているときは、その受験生に顔を向け、時々軽く頷いたりしながら、人の話を来たり、人に興味を持てる協調性のある人物であるということをしっかり見せておく必要があります。
次に、二点目の注意点ですが、「自分だけ違うことを言ってしまって、おかしな人だと思われたらどうしよう」などと考える必要はありません。むしろ、違うことを言った方が、あなたが個性的であると思われますし、面接官の印象にも残りやすくなるでしょう。逆に、自分が答えようとしていたことを、他の受験生に言われてしまった場合などは、焦りは禁物です。この場合、「すみません、私も同じなんですけれど」などと誤るのは愚策です。たとえ、先に答えた受験生と同じ意見であっても、その意見に至った理由や体験は人それぞれで、キミにはキミの、アナタにはアナタだけの理由や体験があるはずです。「私も国際交流プログラムに関心があって志望しました。○年生のとき、僕(/私)は夏休みに米国のネブラスカ州のオマハに行ったことがあって・・・」というように堂々と自分の体験を伝えていきましょう。
03 面接の流れを知る
面接を望むにあたって、中にはぶっつけ本番という無茶な生徒もいないことはないでしょうが、多くの生徒は、何度も模擬面接などを行い、十分に面接対策を準備していると思います。しかし、いくら準備しようが、面接本番と模擬面接は異なります。実際の面接では、想定と違う流れになることは十分にあり得るというか、大抵の面接が多かれ少なかれ、想定とは異なる流れになるものです。想定通りに言ってしまう面接というのは、逆に言えば、非常に形式的な流れになってしまっている面接であるともいえるわけで、それは少なくとも面接官にも印象も残りづらいつまらない面接になっているということでもありますし、自分自身もワクワクすることがないような魅力の無い志望先であったということになってしまうかもしれません。
そういうわけで、面接では事前に想定していた「面接はこういう流れになるだろう」と思っていた状況と違う状況になることを当然想定しておき、そういう想定と違った流れになったときこそ、良い面接ができていると、むしろ前向きに捉えましょう。焦りは禁物です。たとえば、比較的些細な話をすれば、控え室で自分の名前を呼ばれたら「はい!」と明るく大きな声で挨拶をして、ドアをノックして「どうぞ」と言われたらドアを開けて「失礼します」と言ってから入室するというイメージを持って面接に臨んだとしましょう。すると、実際の面接は既にドアが開かれていて、「あれ、会場である教室に入った時点で、『失礼します』といえばいいのか、それとも椅子の横まで行ったところで『失礼します』といえばいいのか」と困惑してしまうという話はよくあります。こうして、想定と異なった滑り出しにすっかり当惑してしまい、焦った心理状態で面接が始まってしまい、その後もうまくいかなかったという話もよく聞く話です。
面接は「競技」ではありません。茶道や華道、あるいは武道ではそういう細かい流れを覚えておく必要や、それを守る必要があるかもしれませんが、面接では、そこまで細かい流れを形式的に覚える必要も守る必要もありません。失礼にならない程度の態度ということに心がければ、多少行動がぎこちなくても、マイナス評価はつけられません。もちろん、茶道や華道、武道の競技試験などでは、失格してしまうでしょうが、大学入試や高校入試における面接はそこまで様式美を追求したものではありませんし、そこにウエイトがあるわけではありません。その上で、一般的な面接な流れを説明します。
- 控え室で待つ(友達や知り合いがいてもおしゃべりするのはNGです
- 控え室で番号や名前を呼ばれたら「はい!」と大きな声で元気よく返事をする(距離がある場合など、意外と声が届かないものです。「少し大きすぎるかも」くらいに思えるぐらいの声の大きさがちょうどいいと思っておきましょう。
- 面接室のドアを3回ノックする(別に2回でも問題ありません)
- 「どうぞ」という返事があったら、ドアを開ける(勢いよくドアを開けすぎないように注意しましょう。また相手から返事がない場合は、一瞬待ってからドアを開けましょう)
- 入室したら、後ろを振り向いてドアを閉めてから、大きな声で「失礼します」と言う(この際、体を面接官に向けたまま後ろのドアを閉めるのは失礼なので、一旦後ろに振り返り、きちんとドアを閉めましょう)
- 面接官に向かって一礼する(首を曲げて頭だけを下げたり、猫背になったりすると印象がよくありません。できる限り背筋をシャキっと伸ばし、腰から上を30°ほど前に傾けます。このとき、上体を下げるときは早めに、上体を戻すときにはややゆっくりすると上品なイメージを与えます。また、喋りながらお辞儀をするのはNGです。動作と言葉は必ず分けて行いましょう。)
- 席の横まで移動する(行進のような歩き方は不自然ですが、足をすりながらアルクのは印象を悪くしますので、胸を張って、足をすらずに歩きましょう)
- 「座ってください」と指示されたら、相手の目を見て「よろしくお願いします!」と言って、言い終えてから礼をしましょう。先ほども注意書きで触れましたが、礼と言葉が同時にならないように気をつけましょう。自分の目は大きめに開いて、唇の左右のはしを引き上げる表情にしていうと好印象を与えます。
- 着席する(着席したら、顔は面接官に向けましょう。下を向くうつむき加減や背もたれに背をつけるのはNGです。背筋を伸ばし、かかとを床につけ、両足のひざをつけ、膝の上に手をのせましょう。
- 面接官から「終わりです」と言われたら、「ありがとうございました」とゆっくりはっきりとした声で答えて、席を立ち、一礼しましょう
- 出口に向かったら、出口の一歩手前で面接官の方へ振り向いて、面接官の方をみて「失礼します」と言って、ドアを閉めましょう。
これが、面接の中身に関係の無い、面接の一般的流れとその際の注意事項です。必ずこの通りにできなくても良いですが、「こういう流れが一般的だよな」と思って理解しておきましょう。
04 面接の身だしなみを知る
一般的に面接では、次の3つの要素で評価されます。(1)見た目(2)動作(3)話す内容、です。もちろん、言うまでも無く大事なのは(3)「話す内容」ですが、いくら話す内容が立派でも、見た目や動作が伴っていなければ、「中身だけ取り繕っている」と思われかねません。もちろん、「見た目や動作だけしっかりしているが中身がない」という生徒よりはましと言えばましかもしれませんが、せっかく頑張って話したことが、見た目や動作などといった些末な点で全体として悪いイメージを与えてしまったり、嘘くさく思われてしまったりと、マイナス評価されてしまうのは大変もったいないことです。
そこで、まずは見た目(身だしなみ)について説明していきましょう。
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【監修者】 | 宮川涼 |
プロフィール | 早稲田大学大学院文学研究科哲学専攻修士号修了、同大学大学院同専攻博士課程中退。日本倫理学会員。元MENSA会員。早稲田大学大学院文学研究科にてカント哲学を専攻する傍ら、精神分析学、スポーツ科学、文学、心理学など幅広く研究に携わっている。一橋大学大学院にてイギリス史の研究も行っている。 |
社会=暗記という常識はもう古い!知識だけでは通用しない社会の問題(麻布中学校の社会の入試問題より)